水害ハザードマップの見方・確認方法

浸水深の読み方色分けの意味自宅リスク確認

ハザードマップは、洪水や土砂災害でどこがどれくらい危険になるかを地図に表したものです。台風や大雨が来る前に自宅・職場・学校のリスクを知っておくことが、適切な避難の第一歩になります。まずは河川のリアルタイム水位と合わせて確認しましょう。

ハザードマップの種類

洪水ハザードマップ

河川が増水して堤防を越えたり決壊したりした場合に、想定される浸水範囲と深さを示します。大きな河川の近くで特に重要です。

内水(ないすい)ハザードマップ

大雨で下水や排水が追いつかず、市街地に水があふれる「内水氾濫」のリスクを示します。河川から離れた都市部でも浸水することがあります。

土砂災害ハザードマップ

がけ崩れ・土石流・地すべりの危険がある区域を示します。山やがけの近くにお住まいの方は必ず確認しましょう。

色分けと浸水深の読み方

洪水浸水想定区域図では、色が濃いほど浸水が深いことを意味します。目安は次のとおりです。

0.5m未満(薄い水色)

大人のひざ下程度。歩行が困難になり始め、地下や半地下は危険です。

0.5〜3m

1階が水没する可能性。床上浸水し、垂直避難でも2階以上が必要になります。

3〜5m・5m以上

2階・3階まで浸水するおそれ。早めの立退き避難(安全な場所へ移動)が必須です。「家屋倒壊等氾濫想定区域」では建物自体が流される危険があります。

自宅リスクの確認手順

① 国土交通省「重ねるハザードマップ」または市区町村の防災マップを開く ② 自宅・職場の住所を入力 ③ 洪水・内水・土砂災害を重ねて表示し、色(浸水深)を確認 ④ 最寄りの指定緊急避難場所と複数の避難ルートを確認 ⑤ 家族で共有し、避難の判断基準を決めておく。

所要時間は5分ほどです。スクリーンショットを撮ってスマートフォンに保存しておくと、停電や通信障害でサイトが開けないときにも見返せます。避難のタイミングは河川のリアルタイム水位警戒レベルで判断します。

どこのハザードマップを見ればいい?2種類の使い分け

国土交通省「重ねるハザードマップ」(全国横断・まず最初に)

住所を入れるだけで、洪水・内水・高潮・津波・土砂災害・道路防災情報を1枚の地図に重ねて表示できます。全国どこでも同じ操作で調べられるのが最大の利点で、引っ越し先や実家、旅行先の確認にも使えます。まずはここで大まかなリスクを把握してください。

市区町村のハザードマップ(避難所・避難ルートまで載る)

「◯◯市 ハザードマップ」で検索すると出てくる自治体版は、指定緊急避難場所・避難所の一覧、地区ごとの避難の考え方まで載っており、実際の行動計画を立てるにはこちらが必要です。PDFのほか紙版が役所や公民館で配布されています。検索の際は、ドメインが lg.jp など自治体公式のものかを確認してください。

都道府県の浸水想定区域図(より詳しい川ごとの想定)

県管理の中小河川については、都道府県が河川ごとの浸水想定区域図を公開しています。探し方は都道府県の河川情報システム・監視カメラ一覧にまとめました。

見落としやすい3つのポイント

① 家屋倒壊等氾濫想定区域は「浸水深」の話ではない

川の流れの勢いで建物そのものが流失・倒壊するおそれがある区域です。氾濫流によるものと、川岸が削られる河岸侵食によるものがあります。この区域では、2階に上がる垂直避難では助かりません。指定されている場合は必ず区域外への立退き避難を選んでください。

② 浸水継続時間も確認する

ゼロメートル地帯などでは、水が引くまで1週間から2週間以上かかると想定されている地域があります。浸水深が同じでも、継続時間が長い地域では在宅避難という選択肢が成り立ちません。電気・水道・トイレが使えない状態が続くためです。

③ 内水氾濫は色がない場所でも起きる

洪水ハザードマップは河川の氾濫を想定したものです。下水の処理能力を超えて市街地に水があふれる内水氾濫は、大きな川から遠い場所でも発生します。内水ハザードマップが別に用意されている自治体では、そちらも必ず確認してください。地下室・半地下車庫・アンダーパスは特に危険です。

ハザードマップの限界を知っておく

ハザードマップは「想定した規模の雨」で作られた予測図です。近年の洪水浸水想定区域図は「想定最大規模(おおむね1000年に一度クラス)」で作成されていますが、それでも次の点に注意が必要です。

  • 想定を超える雨では色のない場所も浸水する…実際の水害では、想定区域外の浸水が毎回のように報告されています。
  • すべての中小河川が対象ではない…水位周知河川に指定されていない小さな川は、区域図が作られていないことがあります。
  • 更新のタイミングにばらつきがある…改訂されて範囲が広がっている場合があるので、数年前に見たきりの方は最新版を確認してください。

「色がない=安全」ではなく、「色がある=確実に危ない」だけが確かな情報だと考えてください。そのうえで、当日の判断は氾濫危険水位と自治体の避難情報で行います。

確認したあとにやっておくこと

リスクが分かっただけでは行動は変わりません。次の3つまでセットで済ませておくと、当日の迷いがなくなります。

よくある質問

国土交通省の「重ねるハザードマップ」や、お住まいの市区町村が公開する防災マップで確認できます。住所を入力すると洪水・内水・土砂災害のリスクを地図上で重ねて表示できます。
洪水浸水想定区域では、色が濃いほど想定される浸水の深さが大きいことを表します。薄い水色は0.5m未満、濃い色になるほど3m・5m・10m以上と深くなります。
浅くても急な増水・停電・断水・下水の逆流が起こり得ます。家屋倒壊等氾濫想定区域や土砂災害警戒区域では、深さに関わらず早めの立退き避難が原則です。
「市区町村名+ハザードマップ」で検索し、自治体の公式サイト(lg.jpドメイン)にあるPDFまたはウェブ版を開いてください。全国横断で見たい場合は国土交通省の「重ねるハザードマップ」が便利です。紙版は役所の窓口でも配布されています。
いいえ。洪水ハザードマップは特定の想定規模の雨で作られており、それを超える雨では想定外の場所も浸水します。また下水の処理能力を超える内水氾濫は色のない場所でも起こります。「色がない=リスクゼロ」ではありません。
川の流れの勢いで建物そのものが流失・倒壊するおそれがある区域です。氾濫流によるものと、川岸が削られる河岸侵食によるものがあります。この区域では2階に上がる垂直避難では助からないため、必ず区域外へ立退き避難してください。
不動産取引では水害ハザードマップ上の物件所在地を説明することが義務づけられており、契約前の重要事項説明で提示されます。ただし内見の段階で自分でも確認し、浸水深と避難所までの経路を見ておくと判断しやすくなります。